• HOME
  • BLOG
  • ブログ
  • パイロット平塚工場蒔絵工房から始まる10周年最後の濃密な2日間

パイロット平塚工場蒔絵工房から始まる10周年最後の濃密な2日間

こんにちは、スペイン語で西を意味するオエステ会の中でも最西端に位置する長崎の石丸文行堂がお届けします!

普段はテレビ会議で会うことが多いオエステ会メンバーですが、濃密な今年最後のリアル定例会議が11月12日~13日にかけて開催されました。西日本各地からメンバーが関東に集い、見て、聞いて、学び、飲み、語り合った2日間の記録を写真たっぷりでレポートします。

1.パイロット平塚工場で万年筆作りを学ぶ


今回は、みんな大好き工場見学からスタートです。
集合場所は、株式会社パイロットコーポレーション(以下、パイロット)の高級筆記具を一手に製造している平塚工場です。
現地集合時間は12時45分。九州・四国・中国エリアから平塚に昼過ぎ集合はまぁまぁハードです。
とはいえ学生時代横浜に住み、家系ラーメン巡りが好きだった私としては、久しぶりの横浜方面と聞けば、家系総本山の吉村家はどうしても素通りできません(笑) 平日11時のオープン直後にも関わらずすごい行列でしたが、なんとか懐かしの家系ラーメンを無事お腹に納め、平塚工場にジャストインタイムで滑り込みました。

工場に入ると、入口のショーケースにこんなものを発見!
昨年100周年を迎えたパイロットコーポレーション。実はその平塚工場とベルマーレ平塚のスタジアムは通りを挟んでお隣さんなんです。

まずは、平塚工場長から歓迎のご挨拶をいただきました。
社会科見学に来た小学生と同じく、ワクワクが止まらない時間です。

いよいよ、見学帽をかぶり3班に分かれて出発です。
この平塚工場では、1,000円以上の高級筆記具の製造をメインに行っています。蒔絵万年筆も含めて万年筆は全てこの工場で生まれています。さらには、ボトルインク色彩雫(いろしずく)もここで製造されています。

「工場見学あるある」なのですが、建物内の製造現場の撮影はNGでした(涙)
みなさんにお見せしたいシーンが多々ありましたが、メーカーにとって製造現場は企業秘密の集積地ですから仕方ありませんね。
広い場内を歩いて蒔絵工房に向かう途中に、こんなブロンズ像を見つけましたよ。

『三者鼎立』
工場長からご挨拶をいただいた部屋にも掲げてあった言葉です。これはパイロットの社是でこんな意味があります。

 鼎(かなえ)には3本の足があり、そのうちどれかひとつが長く、あるいはどれかひとつが短くても安定が悪く使い物になりません。これは事業についても同じであり、使う者、売る者、つくる者、三者のいずれかが得をし、あるいはいずれかが損をしても商売は成り立ちません。 商品をつくる者はそれを売りひろめる人々の苦労を思いやり、また使う人々の不利不便に思いめぐらし、その上ではじめて自分の利益を考えなければならない、また売る者はつくる人々の考案の苦心、製作の努力をよく理解してその上で自分の利益を考えなければならないという、商売の基本的な心得を表しています。(引用元:パイロットコーポレーションホームページ

さていよいよ本丸、蒔絵工房NAMIKIに到着しました!
外観は明治時代の赤煉瓦倉庫のようでお洒落ですね。
ん? でもなんだか、日本伝統工芸「蒔絵」のイメージとはちょっと違うような……と思ったら、ちゃんと理由がありました。

当社は、大正15年(1926年)に蒔絵万年筆の販売を始め、人間国宝松田権六氏を中心とした蒔絵師グループ「國光会」を結成し、日本古来の伝統工芸である蒔絵を90年にわたり守り続けています。
その歴史を、平塚市の近代史を伝える旧第二海軍火薬廠として使用されていた煉瓦造りの建物を改装し、展示しています。(引用元:パイロットコーポレーションホームページ

履き物を脱いで入口を入ると、周年記念万年筆や過去に発売した蒔絵万年筆がずらり拝見できるギャラリーがありました。記憶に新しい100周年記念の500万円の限定セットも部屋の中央に展示してありました。
そしてその奥には、実際に蒔絵万年筆を製造している各工程ごとに部屋が分かれ作業の様子を廊下から窓越しに見学することができました。見てください、このレトロな雰囲気を。建物内は火薬廠として利用されていた当時の構造をそのままに大切に利用していると伺いました。

各部屋の入口には、レトロな表札が掛かっています。
これはその一部ですが、味があって、好きな人にはたまりませんね。

この廊下に掲げてあったポスター画がまた最高に味がありました!
大正時代から昭和初期にかけての万年筆のポスターです。
ウィスキーをチビチビやりながら万年筆談義を繰り広げたくなる衝動を抑えなければなりません(笑)

左:「パイロットロゴと富士山」1926年(大正15年)
右:「万年筆とバラ」1927年(昭和2年)
社名は「株式会社並木製作所」です。


左:「バランス型万年筆とダンヒルナミキ」1931年(昭和6年)
右:「セルロイド万年筆と鶴」1938年(昭和13年)


左:「万年筆と戦闘機(無敵日本)」1938年(昭和13年)
右:「パイロットインキと戦地用固形インキ」1938年(昭和13年)

時代背景を想像しながら、商品の特徴やポスターのキャッチコピーを眺めていると、時が経つのを忘れてしまいます。
この「蒔絵工房NAMIKI」は、事前予約をすれば一般参観も可能ですのでご紹介しておきます。詳しくは下記の公式ホームページをご覧ください。
https://www.pilot.co.jp/service/koubou_namiki/

2.Y.Y Pen Club代表が語る万年筆へのこだわり


近年、手書きブームの拡がりの中で、万年筆やインクを小売店がオリジナル企画で発売する機会が増えてきました。オエステ会メンバーでも約半数近くは積極的に手書きファンに向けたオリジナル商品の開発を行っています。そこで、新しい取組として、万年筆ファン代表の声を聴いて店づくり・ものづくりの参考にさせていただこうということで、Y.Y Pen Clubの代表山﨑幸造氏を招きお話しをしていただきました。

Y.Y Pen Clubとは、10年前に関西を中心に活動を始めた万年筆ファンによる万年筆愛好クラブです。
毎年、海の日頃に「Y.Y Day」と称する万年筆愛好家が集まるイベントを開催されています。その「Y.Y Day」では、セーラー万年筆に製造をお願いして、独自企画の限定万年筆を毎年販売しているというから驚きです!
さらには、11月に「神戸ペンショー」をナガサワ文具センターと共催し、今年で5回目のイベントが11/23~24開催されます。全国から万年筆好きが集まる程のパワーです。私たち石丸文行堂も2年前から呼んでいただき、万年筆・インク・紙類を販売させてもらっていますが、Y.Y. Pen Club代表の愛と情熱には圧倒されるばかりです。「神戸ペンショー」の詳細は下記公式ページより。
https://www.facebook.com/kobepenshow2019/


(写真:「Y.Y Day」で毎年限定発売している万年筆たち)

3.学びの後はとことん語り合います


平塚から新宿の高層ビル街に移動しました。

オエステ会の活動は、みなさまから見えているものづくりだけに留まらず、工場見学・店舗視察・懇親会などを通じて、お互いの考えや取組事例を惜しまず共有できるフレンドシップを醸成しています。やはり、刺激を多く受けた後は意見交換が大いに盛り上がりますね。


いつも熱い前田副会長の乾杯に始まり、


木村商品部会長の万歳三唱まであっと言うまでした。
その後は二手に分かれて二次会があり、その後はさらに分かれて三次会があり、、、5時に起きて地方から出てきたメンバーとは思えないほどタフです(笑)

4.朝9時からマルマン井口社長のお話しを聴講


2日目の朝は早いですね。
都心のラッシュに身を委ね、8時45分に中野坂上にあるマルマン株式会社(以下、マルマン)の本社に集合です。オエステ会が発足したきっかけを作ってくれただけでなく、10周年を迎えることができたのも陰ながら支えて下さった特別賛助会員マルマンさんのお陰なのです。年に一度、東京で集まる時はマルマン本社の立派な会議室をお借りし、お忙しい井口社長に示唆に富む話を朝一番にいただくのが恒例になっています。来年100周年を迎えるマルマンには本当に感謝です!


その後、商品部会、販促部会、WEB部会それぞれ発表や意見交換が行われました。
オエステ会10周年目の今年も残すところあとわずか。年末をもって役員改選することが決まっているので、今回の会議は、これまで推進してきた事業をやり遂げることと次年度の新体制へにバトンを渡すという雰囲気でした。

商品部会からは、10周年企画の集大成として今週末発表予定の大型商品(!!)のサンプルチェックやリリース日程調整が行われました。
販促部会からは、10周年企画の目玉として開催中のオエステキャラバンの中間報告がありました。嬉しいことに、商品別売上金額ナンバーワンは石丸文行堂の長崎美景インク「軍艦島サンセットグレー」でした♪

(オエステキャラバンの詳細は↑をクリック)

WEB部会からは、アクセス解析結果の報告と新たなステージを目指したサイトリニューアルの提言が行われ、ここで午前の部終了。


この時間になると、すっかり昨晩のお酒は抜けてお腹が空いてくるので、終日会議の束の間のお楽しみタイムです♪

午後の部もいくつかの議題がありましたが、全国の文具ファン・全国の文具業界人にぜひお伝えしたいことはただひとつ。
オエステ会二代目会長として、岡山県のうさぎやの松成雅治さんが3期6年間お務めになり、ものづくりを中心として三権の長を任命し、組織を作り、会の運営をリードしてこられました。その集大成が2019年の10周年企画でした。
この日の最後に、松成会長から在任中の振り返りや感謝の言葉に続いて、次世代会長の発表がありました。私も含めてその場の全員が真剣に耳を傾けていたので、松成会長の最後の雄姿は写真がありません(涙)

そして、、、


松成会長からNext10yearのバトンを受け取ったのは、山口県のクロスランドの今本逸郎さん(写真上)です。
明るく柔和な人柄で新しい取組にも積極的な次世代のエースです!
年明け2020年から、また次の10年が始まります。オエステ会第三章もみなさまどうぞよろしくお願いします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事