ナガサワ文具センター オリジナル万年筆「シルエット」

子どもの頃、万年筆はダンディな男性が書斎で使う大人の筆記具というイメージを持っていましたが、近年各地で開催されている万年筆のイベント会場をのぞいて見ると、年々女性の入場者が増えて、イベントによっては、過半数を超えるようになりました。
ジェンダーの平等が謳われる昨今、古い固定観念を持っていた自分が恥ずかしく思えて、ユーザーの変化が進んでいることを実感させられます。

そんな新しい万年筆ユーザー達が投稿するSNSを見てみると、自宅はもちろんのこと外出先にあるオシャレなカフェで、好きなノートに、好きなインクを詰めた万年筆を使って、思い思いのスタイルで万年筆ライフを楽しんでいます。
そこに登場するのは、万年筆のモデルハウス?のような、黒塗りの筐体に覆われた「THE万年筆」(モンブランのマイスターシュテックのようなモデル)ではなくて、パステルカラーやグラデーションに彩られた、美しいという形容詞が似合う、手にしているだけで元気を与え、心を癒やしてくれる万年筆たちです。

 

NAGASAWA Pen Style 万年筆「シルエット」
「文具が好き、ノートが好き、書くコトが好き、そしてなにより万年筆が好き」というユーザーに元気と、癒やしを与えてくれる万年筆が、今年(2023年)創業141年を迎えたナガサワ文具センターから発売になりました。

「シルエット」と名付けられたこの万年筆は、グレーとアイボリーの2色を使ったバイカラーの本体に、金色のリングを遇った上品な佇まいは、美しくてカッコイイ、いまの時代にふさわしいジェンダーフリーなモデルに仕上がりました。

この「シルエット」には、近年ではコストや手間がかかると云った理由であまり採用されることがなかった「サンドブラスト」という贅沢な加工を本体に施しました。
この加工で、ラメは含まれていないにもかかわらず、光に反射してキラキラと輝いているように目に映り、表面の細やかな凹凸の質感が心地よく指にフィットしてくれます。

 

シルエットの起源
輪郭を黒く塗った手法とか影絵といった意味の「シルエット」は人の名前に由来します。
時は、16世紀のフランス、ブルボン朝の貴族に生まれたエティエンヌ・ド・シルエットは、ルイ15世の下で財務総監(財務大臣)を務めた人物で、先代ルイ14世が対外戦争で浪費した経済を立ち直らせるために節約政策を推進し、そのひとつとして高価な画材(絵の具など)を使った肖像画を戒め、影絵のような輪郭を黒で塗りつぶすだけのシンプルな絵にするように指示したという逸話が残っています。
この技法を、彼の名前から「シルエット」と呼ばれることになるとは、政策面ではあまりいい評判を得られなった彼にとって、想いもよらないことだったかもしれません。
さて、21世紀の日本は、誰もが自由に好きなインクを選び購入できる時代です。
ナガサワ文具センターオリジナル万年筆「シルエット」にお好みのインクを入れて、当時の財務総監エティエンヌ・ド・シルエットがうらやむような使い方を、ぜひとも楽しんで欲しいと思います。

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