書くことと消すこと〜シャープペンシル〜

大阪のギフショナリー・デルタの前田です。
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

あまりにも暖冬で季節感を感じることなく年末年始を過ごしてしまいました。日本は記録的な暖冬だそうで、暖かい日が例年の約1.5倍もあるそうです。シーズン品を扱ったり、シーズンイメージに後押ししてもらって商いをしている我々にとっては、この変化に対応していかなければならないと改めて感じた年末年始でした。

さて、今日は少しシャープペンシルのお話しを。シャープペンシルの話はオエステ会のブログでも数名の方が何度か記事にされていますね。シャープペンシルは筆記具の中でも比較的広いレンジの方々に長い間使われる筆記具なのではないかと思います。私が幼少のころは、鉛筆を使いなさいという教えが強かったように思いますが、最近では小学生でも高学年になると、シャープペンシルを使うことも多いようです。また、中学生や高校生の間ではレアなシャープペンシルや書きやすいシャープペンシルを求める学生も多く、当店でも「限定」や「オリジナル」といったペンを求めてたくさんの方々がご来店くださいます。

筆記具の歴史としては、諸説ありますが、シャープペンシルは19世紀に生まれてきたとされています。日本では20世紀初頭に電機メーカー、シャープ株式会社の創業者、早川徳次さんの開発した早川式繰出鉛筆を発明し、商品名をエバー・レディ・シャープ・ペンシルという名前を付け、その商品が大ヒットしたというお話しが有名なお話しです。早川氏は筆記具製造を手放しましたが、日本ではその後もシャープペンシルという言葉が引き継がれたようです。シャープペンシルという言葉は和製英語(というか商品名)で、海外では通じないことが多く、メカニカルペンシルという言い方が主流です。

また欧米は特にという感じですが、シャープペンシルの利用者は日本と比べると非常に少なく、「書く」ということにおける感覚の違いが影響しているとも思います。自分の書いたものを消すか消さないか。ヨーロッパでは書いたものを消さない、なぜなら過去を認識できるからという感覚があるそうです。初等教育から万年筆やボールペンを使うという文化もヨーロッパならではなのですね。私の友人の建築デザイナーの彼も打ち合わせやアイデア出しで「自分の書いた線や文字は消さない」という信念を持っています。その時出したアイデアやインスピレーションはその時だけのものかもしれないけれど、その瞬間を大切にしたいという思いがあるそうです。彼は鉛筆やシャープペンシルの線すら消しませんが。(笑)

私はシャープペンシルが大好きで、私の筆箱の中には、シャープペンシルが多めに入っています。だいたい写真のような感じのシャープペンシルが入っているのですが、中でもお気に入りは今は廃盤になってしまいましたが、ぺんてるのPG1505ADです。前述の建築デザイナーの友人から、「探してくれないか?」と10年近く前に問い合わせを受け、当時の営業の担当の方にお願いして、見つけ出していただいたシャープペンシルです。かなり細身の製図用シャープペンシルで、重心もかなり低重心のモデルです。

なによりグリップのローレット加工がおそらく私の持つシャープペンシルの中で一番細かくて美しい。ガイドバイプは4mmで製図用シャープペンシルとしては標準的ではありますが、ボディーラインのせいか同じ4mmのシャープペンシルよりも長く見えます。

ぺんてるのシャープペンシルでは、現在オレンズ、オレンズネロ、ケリー、スマッシュなどが人気でありますが、何気にこのPG1505の復活を願うシャープペンシルユーザーは多いのではないでしょうか。PG1505の素晴らしいところは、筆記時の美しさということもあります。筆記具はその筆記性能もさることながら、デザインの美しさもその魅力のひとつであると思います。

多種多様な機能が注目されている文房具、筆記具ですが、私が常々思う文房具の素晴らしさは、「持つことで、使うことで、モチベーションや気持ちが向上し、良い仕事や学び、そして人生が豊かになって、それぞれが文化を創造することができる」そんな道具であるということです。ヨーロッパの考え方も一理あると思いますが、私が大好きな企業コピーのひとつにトンボ鉛筆のコピーで、今は亡き岩崎俊一さんの作られたコピーがあります。

「人は、書くことと、消すことで、書いている。」
「ロケットも、文房具から生まれた。」

人が生きる営みの中で、自分や周りと携わること、自分を表現すること。頭や心から送られた信号を自分の文字や表現で表すこと。文房具や筆記具がそのお手伝いができますようという思い。私にとっては、改めて自分たちの志事に誇りを持つことができる言葉です。パソコンやスマートフォン、SNSやブログがコミュニケーション、表現の主流になりつつある今、もう一度、シャープペンシルと消しゴムで、書いて消して、書いて消してしてみると、どこか懐かしく、そして新しいものが見えるような気もします。

ささやかな道具である文房具が、みなさまの人生を豊かにするお手伝いができますように。

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