キャップレス<ニッポニア>が生まれるまで
こんにちは、大阪のデルタの前田です。
早いものでもう12月ですね。2019年もあっという間に走り抜けた感がする今日この頃です。個人的には海外との繋がりが非常に強くなった一年でもあり、日本の国内外で海外の方々とご縁をたくさん頂いた一年でした。夏から本格的に台湾のYachingStyleのパートナーとなり、8月以降は疾風のように駆け抜けた気がします。
さて、このページやブログを読んで頂いている方々は、既にご存知の方が多いかと存じますが、去る12月6日にオエステ会10周年記念企画の最終となるキャップレス万年筆<ニッポニア>が発売となりました。オエステ会の活動の中で、重要な位置付けになっていることのひとつに「商品企画」という仕事があります。読んで字のごとく、専門店の販売員の目線、そして文房具を愛するひとりとして、「こんな商品があったらな」や「こんなデザインはどうだろう」といったことをカタチにするお仕事です。私自身はこの4年ほど、この商品企画のメンバーとして携わらせて頂きました。今回のキャップレスは、実はおよそ2年近い構想のもとに生まれた商品なのです。
過去5年間、パイロットコーポレーションとのコラボレーション企画は、プレラの透明カラーシリーズを続けてきました。実際、今年一年、多くのお客様から、「今年は何色が出てくるの?」「今年はプレラ出ないの?」とお問い合わせを頂いておりました。でも実は、昨年の段階で、10周年イヤーの2019年は高価格帯の商品をつくるという目標が決まっており、お客様に明確なご返答ができておりませんでした。プレラを心待ちにされておられたお客様には、この場を借りてお詫び申し上げます。
そんなこんなで、行き着いたところがキャップレスでした。キャップレス・デシモではなく、キャップレス(レギュラー)というところが如何にもオエステ会らしいとも思います。(笑)しかしながら、ここからが大変で、12社60店舗を超えるオエステ会の加盟店が足並みを揃えて、デザイン、コンセプトの方向性を擦り合わせていくことは容易ではありません。最初の一手を踏み出すことが難しい、そんな中、2018年秋の総会の時に、ある加盟店の万年筆愛好家の彼の口からでたひとことが、イメージを固めていくひとつの要因となりました。
「前田さ〜ん、なんか赤から色が変わっていくグラデーションみたいなデザインとかどうっすか〜。オエステ会の赤と日本のイメージ色の赤で〜。」
そのひとことを発したのがこの右側の彼です。(笑)
彼の言葉が心にガツンと胸にひびき、会議中にも関わらず、すかさずデザインに取り掛かりました。「オエステ会の10周年。オエステ会は燃えるような心で文房具を通して、日本を元気にしていくんだ!」というイメージがかたまりました。その後、約半年強かけてデザインの練り直し、やり直しを重ねて、今の<ニッポニア>のデザインに辿り着きました。しかしながら、辿り着いたものの、ボディの短いトップ部分の間で赤から白へグラデーションをかけて欲しいという要望はかなり厳しい要望で、しかも色の濃淡が極端であるため、非常に高度な技術が必要とされました。グラデーション塗装の得意なパイロットさんでも難しいと仰られるくらいでした。グラデーションのかかり方、色味の再現性に納得がいかず、調色、塗りサンプルのやり直しも発生しました。しかしながら、例え仕上がりの納期が厳しくとも「妥協はしたくない」という思いで進んで参りました。
最終的に上がってきた商品は本当に綺麗に仕上がっていると思います。本当に「携わってくださったみなさまに感謝」の一言しかありません。
商品をつくるということは、本当に難しいことだと思います。自分たちの思いを伝えること、そしてご支援くださるお客様のニーズを考えたり、マーケットのシーズを読んだり、また製造者の技術力と思いを理解し、感謝すること、これらのバランスが取れてこそ、愛される良い商品が生まれてくるのではないかと思います。ちょうど<ニッポニア>が世に出てくる少し前に、幸いにもパイロットコーポレーションの平塚工場の視察にオエステ会としてお伺いすることが出来ました。<ニッポニア>もラインの中におり、本当に美しく並んでいる姿、そしてそれらを大切に製造してくださっている工場の方々の姿を拝見し、「10周年を記念する素晴らしい商品が生まれる」と確信しました。
オエステ会は2020年1月20日より11年目のスタートを迎えます。オエステ会が発足した2009年1月20日、マルマンさんの宮崎の工場にて、集まったみなで思いをひとつにした、「文房具を通して日本を元気にする。」ということを、これからもしっかりと胸に刻み活動をしていきたいと思います。商品企画に関しても、これからもみなさまのご期待に添えますよう、益々、研ぎ澄まされていくことと思います。
乞うご期待!
皆様に支えられ、大阪のキタの中心地、梅田・堂島で70余年。文房具とギフトをお探しなら、ギフショナリー・デルタ 堂島アバンザ店へお立ち寄りください。文房具は文化を綴る道具です。デルタは、皆様の生活とお仕事を豊かにし、世界の「文化を綴る」お手伝いをミッションに楽しいお店造りを目指します。