こだわりの文房具は?と聞かれて – 紙 編 –
こんにちは、ひさしぶりのオエステ会ブログ担当、大阪のギフショナリー・デルタの前田です。このブログがアップされる頃にはもう既に暖かな春の空気が訪れていることでしょうか。卒業や入学、引っ越しや新社会人などなど、何かと人生の転機が訪れる時期かと思います。
私がよく話をさせていただくことのひとつに、このような話があります。
「文房具は少しの投資で、人のモチベーションや志を高めてくれる道具です」と。
例えば幼少期に親御さんやご親戚の方々に、新しい文房具を買ってもらった時、プレゼントしてもらった時、すごく嬉しくなかったですか?勉強をがんばろう!とか学校生活を楽しもう!とか。そして新しいノートの数ページはとても綺麗に字を書いたり、新しい筆箱を何度も開けたり閉めたり。心躍った記憶をお持ちの方が多いのでないのでしょうか。
大人になってからも、高価な筆記具をお祝いの贈り物でいただいたり、高価でなくても新しい手帳やノートを自分自身で購入したとき、とてもテンションが上がって、モチベーションを向上させてくれるそんな思いを抱く方も少なくないと思います。文房具は誰かに対してのギフトになるとともに、自分自身に対してのギフトにもなるそんな素敵な道具だと思っています。当店の「ギフショナリー」には、「文房具をギフトに」「ギフトとしての文房具を」という思いが込められています。
さて、ではみなさんはどんな文房具がお好きですか?
もちろん文房具というカテゴリーはとても広いので、何かひとつにということよりは、文房具全般が好きという方も多いと思います。その時代時代で好きな文房具が変わったりすることもあるかな。私自身もシャープペンシルにはまったり、ノートにはまったり、万年筆やインクにはまったりといった風に、その時代時代でマイブームが来ている気がします。そんな中でも、普遍的に興味があり続けるのが、「紙・ノート」です。
今でこそ高級ノートや高級な紙なんかも目にすることが増えましたが、紙というカテゴリーは比較的安価で、手が届きやすい。そして何より常に身近に置いておける。そんな文房具のひとつだと私は思います。私自身、国内外に旅行や出張に出て、文房具店やお土産物売り場などで、ついついノートやメモ、そして紙製品を購入してしまいます。先日オフィスの引っ越しの際に、紙製品だけで段ボールがすごい数になったのを見て少々驚いたほどです。

【初めて台湾出張にいった10数年前に購入したノート。こんなノートやメモが山ほどあります。】
紙の思い出を話をする時、ついつい幼少期の話をしてしまいます。記憶にしっかりと残っているのは、当時隣に住んでいた祖母の家の電話台の一番上には鉛筆、上から3段目には片面印刷のスーパーなんかのチラシや、それを裁断したメモがたくさん入っていました。チラシの裏が私の初めての書かれるものだったのです。貧乏削り(両端を削ってある)の鉛筆でチラシの裏に、文字も絵もたくさん書いて遊んでいたのは40年以上経った今でも鮮明に思い出すことができます。
その後はスケッチブック、学習帳、大学ノートなどなど、たくさんのノートやメモを使いました。社会人になってからは、システム手帳や高級と言われるハードカバーのノートなどもたくさん使いました。社会人1年目の春、父の店、デルタでマルマンのボストンノート(今は廃盤)を買って、テンション上がって仕事に向かっていました。取引先との打ち合わせの時に、そのボストンノートをカバンから取り出すのがすごく嬉しかったのを記憶しています。

【新社会人になった頃愛用していたマルマンのボストンノート】
その後時が経ち、文房具の仕事をするようになってからも、ノートを集める癖は止まることなく今に至ります。今の会社に入社して数年が経過した2007年だったかな、東京のイベントで山本紙業さんと知り合い、その後、現山本社長が営業にきてくださり、「ノートを作りたいんです!」とお願いしたのが、当社のオリジナル商品のスタートだったかと思います。(厳密にいうと昔は伝票やら帳簿やら作っていましたが。)
当時まだまだノートは安価で、1冊1000円を超えるノートはあまり世の中になかった中、1500円という値段のノートを世に生み出しました。本文用紙は鉛筆やシャープペンシル、ボールペンでも書き心地が良い紙を選びました。罫線は5mmの枠をはみ出してしまう人のために7mmに、そして印刷色は見えるか見えないかくらいの薄くて細い罫線をあしらって。さらには表紙の紙やミカエシの紙にもこだわり、梅田の夜空に輝く星をイメージしたノートを仕上げました。そして、そのノートをUmeda Noteと名付けました。

【初代Umeda Note】
案の定、全く売れずで、作ったものを売り切るのに果たして何年かかかったことやら。そしてそれから約10年の時を経て、何度かのインクブームの波があり、万年筆で書いても滲まず、裏抜けしない紙を使ったノートを作りたい。と性懲りも無くノートを作る相談を山本社長にしました。紙選びの様子からインスタグラムライブで放映し「これだ!」という紙を選んで、2021年に新Umeda Noteが誕生…するはずだったのが、選んだ本文用紙のロット間の仕様のバラツキにより、万年筆インクで思っていたとおりの筆記が実現できなかったのです。急遽販売中止、全数作り直しとなり、企画はまた振り出しに戻りました。再度紙選びからやり直し、最終的に私が最高だと思う紙、HSライトフォースとめぐりあいました。インクの発色もよく、色変化もあまりしない、滲み、裏抜けもない、そして何より用紙の白色度に感動しました。高白色のコピー用紙などには勝てないにしても、印刷用紙、筆記用紙の中ではかなり白い紙とめぐりあうことができました。嵩高の微塗工紙であるにも関わらず、その雰囲気がないのも気に入っています。


【二代目Umeda Note 本文用紙には無地のHSライトフォースを採用。特殊罫の下敷きが付属】
おかげさまでHSライトフォースを使用した新Umeda Noteは多くの方に手にして頂き、発売から3年で1500冊を販売させて頂きました。時代の流れとはいえ、1800円のノートは安いノートではないと思います。しかしながら、こだわりを持って、夢を込めて仕上げたノートの素晴らしさが使い手のみなさまに伝わり、その対価と評価を頂けることは本当に嬉しいことです。
文房具は人生の中で常に身近にあり、幼少期から老いを迎えるまで、一番長くみなさまの生活の中にある道具だと思います。それぞれの時代で移り変わりもありますが、ふとした瞬間にみなさまの生活の中にある文房具とそれにまつわる記憶を思い出してみて頂けると、文房具屋冥利につきます。
文房具がみなさまの人生を豊かにすることを祈って。
最後に私の先輩文房具屋さんがいつもおっしゃっている言葉、
「ぶんぐは夢を描くお手伝い、ぶんぐやさんは夢をかなえるお手伝い」
を添えて、私のブログの締めくくりとさせて頂きます。
長文失礼いたしました。

皆様に支えられ、大阪のキタの中心地、梅田・堂島で70余年。文房具とギフトをお探しなら、ギフショナリー・デルタ 堂島アバンザ店へお立ち寄りください。文房具は文化を綴る道具です。デルタは、皆様の生活とお仕事を豊かにし、世界の「文化を綴る」お手伝いをミッションに楽しいお店造りを目指します。
