NANIWA PEN SHOW

大変ご無沙汰しておりました。大阪の文房具店、ギフショナリー・デルタの前田です。ひさしぶりのオエステ会のブログ投稿で少々緊張しておりますが、少々この数年間の思いを綴らせていただこうと思います。


 2020年に猛威を奮いはじめた新型コロナウイルス感染症。この5月に5類に移行したものの、この3年間で変化した社会の流れは以前と同じようには戻らないと痛感しております。ただ、そんな中でもこの3年間をどのように過ごしてきたかは本当に重要で、私どものお店にとっては厳しいながらも有難い3年間だったとも思います。


 私が商いを考える上でもっとも大切なことは「ご縁」であると思っていて、どんなに厳しい状況下でも「有難いご縁」があれば、苦境も乗り越えていけると思っています。


 新型コロナウイルス感染症が猛威を奮い始める半年前の夏、私たちはTono&Limsというインクメーカーと出会いました。それまでもちろん筆記用インクの取り扱いはありましたし、その当時は特段目新しい出会いだとも思わなかったと思います。ただ新進気鋭のメーカーであるけれど、結構な色数だなぁと思ったのを覚えています。そして何かとイベントを開催されていて、名古屋でのイベントでその熱量に圧倒され、2019年の年末には、東京は虎ノ門のオカモトヤさんで開催された”宇宙遊泳クリパ”は、衝撃の走る思いでした。信じられないくらいのお客様がご来場されて、とても楽しくインクやペンの話に花を咲かせている。そんな状況に夢でも見ているのではないかとも思いました。





 年が明けて2020年の1月、当店もTono&Limsにオリジナルカラーのインクを作ってもらうことになりました。思いを込めてキタとミナミのブルーのインクを作りました。ラメを入れて。当時はまだ早かったんじゃないですかね、ラメ入りのインクは。1月末には当店でもイベントを開催いただき、想像を遥かに上回る多くのお客様にご来店いただき、想像を遥かに上回る数のインクをお買い求めいただきました。





 そうこうしているウチに、2月の中旬を過ぎた頃から徐々に新型コロナウイルス感染症が拡大しはじめ、3月の東京のイベントは中止、以降多くのイベントが中止となっていきました。人々はどんどん活動を縮小し始め、「お篭り」「ステイホーム」「テレワーク」が唱えられ、世界はいったいどうなってしまうのだろうと思った人も少なくはなかったのではないでしょうか。


 しかしながら、私たちは諦めませんでした。というよりも、こんな暗い話題ばかりの世の中だからこそ、楽しいことをどんどんやっていこう。そして、オンラインの世界ではありましたが、どんどん人と人とのご縁を繋げていこう。そんな活動を始め、ガラスペン作家のみなさまとの交流、いろいろな分野の使い手、アーティストさん、それが大きな波へとつながっていったと思います。また、波は別の波とぶつかって、新しい波を作る、そんな出会いもたくさんあり、私の師事する万年筆の師匠、y.y pen clubの親方さんとの出会いも時を同じくしてコロナ禍の始まる少し前だったと思います。以降この3年間、本当に深くお付き合い頂き、たくさんのことをご教授いただいています。





 ペン、インク、紙、そして文房具。我々が生業としている文房具にまつわる場が多くの方々のコロナ禍の疲弊感を少しでも和らげることができる。我々の活動、使い手さんたちと交わることが、喜びや楽しみに変わっていく。そんな時間をこの3年間過ごしてきたように思います。



 

 さて、本題です。そんなみなさまとのお付き合いの中で、昨年、大阪市中央公会堂ではじめて開催させていただきました、NANIWA PEN SHOW。50者超の出展者のみなさまにご出展頂き、1000人を超えるお客様にご来場いただきました。手作り感満載でまだまだ至らないことだらけではありましたが、新しい出会い、多くの方々の笑顔を拝見していて、大変ながらも達成感を感じることができました。





 今年も来月6月24日土曜日、場所は天満橋OMMに移しますが、水都大阪を感じることの出来る風景のもと、多くの文房具好きの方々に楽しい時間を過ごして頂けるように鋭意準備中でございます。今年は55者のご出展者の方々とともに、みなさまをお出迎えさせて頂こうと思っております。みなさまの善意で作り上げることの出来る楽しいイベント。営利目的ではなく、文房具を、ペンやインクや紙を楽しんで頂ける。そんなイベントになるように努めてまいります。有難いことにご参加いただける方々は利他の精神でご参加いただいており、「好き」「楽しむ」が一番に花咲くイベントです。ぜひこのブログをご覧のみなさま、イベントにお越し頂ければ幸いです。





 文房具は文化を綴る道具である。
 書くこと描くことを大切に。


 私がいつもハッシュタグをつける文言です。そんな文房具に出会える場を創ること。我々のミッションだと思っています。


 長々と思いを綴りましたが、みなさまの人生、生活、おしごとが、文房具によって豊かな道へと導かれますように。

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