新年年頭に文房具店を思う

新年あけましておめでとうございます。
大阪のギフショナリー・デルタの前田です。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。


さて、新年早々、当店では工房 楔さんのイベントを4日から7日までの4日間開催させていただきました。楔さんは岐阜県の有名な木工作家さんであり、彼の作る木軸のペンは老若男女、幅広く多くのファンがいます。





前回は一昨年の11月に当店の店頭で開催させて頂きました。その際も彼の圧倒的な人気に驚いたのですが、今回はさらに彼の人気と魅力をそばで見ることができました。彼の作品に会うために、300名を超えるお客様がご来店くださり、1500をゆうに超えるペンや木工作品の数々に目を輝かせておられました。


今回、楔さんとは本当に色々なお話をさせていただき、彼のものづくりへの思いや志をお聞きするとともに「何故に文房具店の店頭で催事をするのか」ということについてもお話をさせていただきました。


文房具店はそもそも日本国中どこの街にもたくさんありました。最盛期では大小合わせて3万軒を超える文房具専門店があったと言われています。今ではどこにでもあるコンビニエンスストアの数が5万数千軒、ドラッグストアの数が2万5千軒ですので、それと比較しても最盛期の文房具店の多さはすごいものだとわかります。ところが今や文房具専門店といわれる店舗は5000軒を切っているのではないかと思われます。


今の会社に入社して、「文房具は文化を綴る道具である」とずっと言い続けてきています。早くは2歳、3歳の頃から、就学、就職、そして老後も長く使い続ける道具が文房具だと思います。種類の違いはあれど、「文房具」というカテゴリで括ると、人生のうちでこれほど長く使い続ける道具はないのではないかと思います。


しかしながら、パソコンやスマートフォンの普及、ITを中心とした生活様式の変化の中で、徐々にその使用量やニーズが減少し、また少子化による影響も受け、マーケットが変化縮小しているのも事実だと思います。


そんな中で、楔さんのペンは本当に幅広い世代の方々に支持されており、多くの方々がすごく楽しみにご来店くださり、目を輝かせながら手にとって、好みのペンを笑顔で持ち帰られる姿をみていて、本当に嬉しく感じました。楔さん曰く、「文房具店の店頭でやるから意味がある」と。「自身の作品をまだまだ知らない方々に見てもらうことはもちろんだけど、文房具店にもっともっと人が集まることを願っている」と。事実、当店に足を運んでくださるのは初めてというお客さまもたくさんご来店くださいました。





インターネット通販をはじめとする流通の形や販売形態の変化、そして事務用文房具の消費量の減少によって、文房具小売店の業況は決して明るいだけではありません。そのような中で、未来ある若者のみなさん、そして今まで日本の経済や社会を支えてこられたみなさんが、文房具店に来てくださること。文房具を通して学業やお仕事、そして人生をより豊かに充実したものへと導かれること。本当に嬉しく思うとともに、そこに場を創り続けることの使命をあらためて感じた次第です。


「文房具は文化を綴る道具である」


今一度、初心に戻って、商いに精進していきたい。そんなことを考える年始となりました。楔さん、そしてご来店いただいたお客さまみなさま、年始から全力ではたらいてくれたスタッフのみなに感謝いたします。


2024年がみなさまにとって良き一年となりますよう。

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